2014年8月19日火曜日

議論に勝ってはならない


仕事上、何かについて議論するということがあると思います。
奥さんや旦那さん、彼氏、彼女と議論(この場合は口論?)することもあると思います。

今日は、この議論について、TIME誌の記事を抄訳したいと思います。

日本人はアメリカ人と比べて議論すること(この場合はディベートでしょうか)は、不得手であるとされていますが、この記事を読むと、アメリカ人だって同じことで悩むんだな、と感じます。

人間社会で生活するうえで、避けることができないこのシチュエーションについて、考えていきたいと思います。


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どうやって議論や口論に勝つか知りたいですか?


勝とうとしなければいいんです。


抵抗しないというのは最適な方法ではないかもしれません。
しかし、「勝つ」ことを考えた時点で間違った方向へ進むことになります。

神経科学の見地からいうと、「議論が始まったら、説得するのは無理だ」ということです。
これは、心理学者を含む研究者達のとある実験が実証しています。

2004年の米大統領選における各候補の支援者に対して、支援者の主張と真っ向から違う内容の動画を見せて、脳のMRIを取りました。

自分の主張と矛盾した情報を得た彼らの脳には、何が起きたのでしょうか?

矛盾する動画を見た瞬間、論理を司る脳の部分の機能が停止し、闘争・逃走反応を司る脳の部分の機能が働いたのです。


これが話し合いが、議論や口論になる理由です。もはや論理に基づいた議論ではなく、喧嘩になってしまうのです。

こうなってしまうと、もう誰が正しくて誰が間違っているというのは関係なく、誰が仲間で誰が敵かという状態になってしまいます。

このことから、意見が違う相手に勝とうとする場合、議論するのは絶対失敗する方法なのです。

経験ありますよね?議論に勝ったとしても状況は悪化し、何も進展せず、絶対起きるのは、双方傷つくことくらいです。


何が問題なのでしょう?議論に勝つというのは、戦争に喩えられます。

ダニエルコーエンはこの戦争への喩えが問題を起こす、とTEDtalkで説明しています。



戦争である限り、何が正しいかは関係なく、いかなる方法をとっても勝ちたいということになります。他人の話ではないですよ。あなたもそうしているのです。


誰も自分が間違っているなんて認めたくありません。勝ち負けゲームであれば誰しも勝ちたいし、生死を左右するのであれば、誰だって死にたくはないのです。

多くの人が、他人の意見をきちんと受け入れられないのです。
なぜか?同じ理由です。

意見を受け入れることが、勝ち負けゲームとなり、アドバイスを受け入れるということは、指図されることになります。


この問題が難しいのは、誰が正しい回答を思いついたか、ということになります。
例えば、Aさんの提案は良いものでAさんをよりスマートに感じさせるとします。一方でBさんはAさんほどでもない、とします。
このバランス関係からBさんは戦いを挑みがちです。Aさんの提案が正しければ正しいほど、Bさんは反対するでしょう。

おかしな話ですが、Aさんの提案がBさんの自主性を失わせます。ここまでくるとBさんの選択肢はなくなります。


それでも議論に勝つ方法を知りたいですか?

では、あなたが証拠動画や専門家を用いて敏腕弁護士も逃げられないような論理で論破したとします。するとどうなるでしょうか?

みんなあなたを嫌います。そういうことなのです。


もうちょっといい方法があります。


「本当の目的は何なのか?」を自問する


これは3つのカテゴリーに分かれます。

1.私の思い通りにやってもらいたい

そうすると、あなたは嫌われるのはよくありません。

思い通りにやってもらう、または新しいアイデアを受け入れてもらうことはできます。
そのアイデアで称賛や名声を得ようとしない限り、勝ち負けゲームにはならないのです。

その最初のステップは議論をやめて、勝とうとしないことです。
ほとんどのビジネス上の議論はこのカテゴリーに当てはまります。

2.なんで議論になったのか分からない、終わりにしたい

みなさんも経験があると思います。
この場合でも「勝つ」ことは解決にはなりません。
そもそも喧嘩しているわけではありませんから。

ほとんどの人間関係に関する議論はこのカテゴリーに当てはまります。

結婚した夫婦は、喧嘩ではほとんどのことは解決できません。
ジョンゴットマンの研究によると、69%の夫婦の問題は永久に解決できないものだそうです。

議論を避けたとしても、離婚するわけではありません。悪循環です。
議論するのをやめましょう。

3.間違いを証明したい

これが大きな問題になるのです。

間違いを認めさせて、思考を停止させて、勝ち負けゲームをすることであなたは満足ですか?

相手に負けを認めさせることは、あなたを嫌うということです。
それってあなたの目的ですか?
考えを改めて、本当は何が目的なのか再検討しましょう。


理にかなっているのは、1番のみです。
しかし、議論ではありません。説得するのです。
でも、どうやってすればいいでしょうか?

これについては、別の機会にブログにしたいと思います。
参考までに英語サイトを載せておきます。


FBI人質交渉人が交渉する方法

Robert Cialdiniの説得法

他人に意見する最適な方法


また、このテーマに関して素晴らしい本があります。
デル・カーネギーの名著「人を動かす」です。

結論

上のTED talkで、ダニエルコーエンは見過ごされがちな素晴らしい指摘をしています。


「議論に負けるということは、何か学びとったということである」


議論という議論に勝つ方法を知っているというのは、大きな損失を被るかもしれませんね。

言葉で無理やり人を動かすのは、あまりいい方法ではありません。
でも学ぶことは常にいいことですよね。

議論に勝つことは、自惚れた勝利と言い換えられるかもしれません。
議論に負けることは、残りの人生をよくする学びの経験かもしれません。


もしかしたら私のこのブログも間違っているかもしれません。
どうか間違いを認めさせてください!

私も学びを得るほうがいいです。


この記事は、TIME誌の抄訳記事です。
原典:How to Win Every Argument

本内容は個人の見解であり、所属する企業を代表するものではありません。

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