2013年11月12日火曜日

TED動画書き起こし「チャリティーに対する考え方は完全に間違っている」

 
Dan Pallottaという方のTEDの翻訳です。
日本語翻訳がどれだけ経っても出てこないので非公式の翻訳を載せます。
他人の翻訳をベースに私の翻訳が大いに入っているのでコピペしないでくださいね笑。

どうしても日本語で共有したかったので、長い文章ですが是非ご一読ください!
英語ですが、動画も聞いてみてください!



ソーシャル・イノベーションと
社会的企業家精神の話をします。

私には三つ子がいます。まだ5歳です。
三つ子と言うと「本当?で何人?」と言われます。

子供の写真です。
セージとアナリサとライダーです。

さて、私はたまたまゲイでもあります。

ゲイで三つ子の親なんて
最も社会的に革新的で起業精神たっぷりでしょう。


慈善事業に関わる社会革新の話をしましょう。

寄付や慈善活動、非営利セクターについて教わった考え方が、
世界を変えたいという熱い思いと大事な信念を
台無しにしているということを伝えたいのです。

ここでみなさんに問いたいのは、
非営利セクターは世界を変える重大な役割を担えるでしょうか。

事業が発展途上経済を後押ししたら、残りは社会事業の仕事です。
と多くの人は答えます。

私はビジネスが慈善活動を進歩させると信じています。

しかし常に10%以上の恵まれない人、
不運な人たちが置き去りになっています。

社会事業には市場が必要ですが
そのための資金調達が問題です。

障害者施設の役員をしていますが
彼らが望むものは、笑いと思いやりと愛です。

それをどう収益化しますか?

そこで非営利セクターや慈善活動の出番です。


慈善活動は愛のための市場といえます。
市場が興味を持ってくれない人たちのための市場です。

バックミンスター・フラーが言ったような
誰も取り残されない、万人のための世界を望むなら
非営利セクターを真剣に話し合うべきです。

しかし、そうはいっていません。

なぜ乳癌の慈善活動が治療法を発見できず、
ホームレス慈善活動が大都市のホームレスをなくせないのか?

なぜ米国の貧困率が40年間ずっと人口の12%のままなのか?

その答えは、社会問題は規模が大きく
それに対して私達の組織はあまりにも小さいからです。
これは、私達の信念体系のせいでもあります。


ここにルールが2種類あります。

一つは非営利セクター用。
もう一つは残りの経済全般。

まるでアパルトヘイト、非営利への5つの差別です。


1つ目は報酬です。

営利目的だと価値を作ればお金を稼げるが
非営利団体がお金を福祉の生産性向上に使うことはダメなのです。

我々は人助けをしてお金を稼ぐという考えに、不快感を持っています。
しかし面白いことに、人助けをせずに大金を稼ぐことには、
不快感を持たないのです。

「子供に暴力ゲームを売って500万ドル稼ぎたいなら頑張れ!
雑誌の表紙に載せてやるよ。」

しかしマラリアの子供のために、100万ドル作りたいなら
寄生虫のような扱いです。

これが私達の倫理体系ですが、
これにはひどい副作用がある事に気づいていません。

それは、良い大学を出た聡明な人たちに
家族と世界繁栄のどちらを取るかという殺伐とした
相互排他的な選択をさせます。

非営利で変化を起こせる何万人もの人たちを
毎年営利団体に送り込んでいる彼らは、
その数十年に及ぶ経済的な犠牲を払いたくないのです。

ビジネスウィーク誌が、MBA取得10年後の報酬調査をしました。

スタンフォード大MBAは、38歳でボーナスを含め約4000万円です。

一方、米国で約5億円規模の医療慈善団体のCEOだと
平均給与額は約2320万円で、飢餓対策団体のCEOだと約840万円です。

年収4000万円の人に、飢餓対策活動のCEOになるため
3160万円を犠牲にしろとは言えません。

「MBAを取る人は欲張りだから」という人もいるでしょう。
でもそうとも限りません。より有能なのかもしれません。

なぜなら、毎年1000万円を飢餓対策に寄付する方が安上がりなのです。
500万円が税金控除となり、まだ年に約2700万円が残ります。

しかも1000万円の寄付で慈善家と呼ばれ、飢餓対策団体の役員になって
貧しいCEOをアゴで使うことになるでしょう。

そして生涯に渡る権力と影響力をもち、この先ずっと称賛され続けるのです。


2つ目の差別は、広告とマーケティングです。

営利団体には最後の1ドルまで広告に使いまくれ、と言うのに
寄付は慈善活動の広告に使うなといいます。

広告は、寄付された朝4時枠の広告でいいと言う考え方です。
寄付金は広告に使わず、困っている人に使ってほしいと考えます。

広告への投資が、困っている人に大金をもたらす事を分かっていません。

1990年代に私の会社が、AIDSライドという長距離自転車ツアーと
3日に渡る乳癌ウォークを企画しました。

9年間に渡って182,000人の一般参加者を集め
約580億円を募りました。

過去のどのイベントよりも早く多くの寄付を集めました。

これは、到底ムリだと思える事を行うのがポイントです。
人は大切な理念のためには、
自分の可能性の全てを試してみたいものなんです

そして、誘って欲しいのです。

大手新聞社やラジオ、TVで広告を大きくうつことで
より多くの参加者を集めたのです。
チラシだけだったら、何人が集まったでしょうか。

米国では70年代の調査開始以来
慈善事業への寄付はGDPの2%で停滞しています。

これは重要な事実です。

なぜならこの40年間、非営利が
営利団体から全くシェアを取れていないのです。

広告で売り込めないのに
どうやったら営利団体からシェアをとれるでしょうか?

消費者ブランドは、自社商品を宣伝できるのに
慈善活動にはその活動を宣伝するな、となると
消費者のお金はどこへ流れると思いますか?


3つ目の差別は、収益を上げるための
新しいアイデアを追求するリスクです。

2億ドルかけたディズニー映画がこけても
誰も司法長官に苦情を言いません。

しかし貧しい人のために、たった1億円の資金集めをし
1年以内に75%の利益がないと、人格を疑われます。

そのため非営利は大胆で大規模な資金集めができません。
失敗したら 評判が地に落ちるからです。

失敗を禁じれば、革新は起きません。
革新なしに、収益は増えません。
収益なしでは、成長もありえません。
成長なしでは、大きな社会問題の解決は無理です。


4つ目は時間です。

アマゾンは6年間利益がなかったのですが、
投資家はみんな待っていました。

長い期間で見ると、いずれ市場を独占すると分かっていたからです。

もし非営利団体が、6年を要する壮大な夢を持ち
規模拡大に投資し、貧しい人にお金が渡らなかったら
はりつけものです。


最後は利益、それ自体です。

営利団体では人に利益を還元できますが、
非営利では利益を人に使えません。

営利団体が数兆ドルの市場を押さえているので
非営利には成長やリスク、アイデアのための資本がありません。


この5つを一緒にすると、

・人材獲得にお金を使えない
・営利団体のように新規顧客獲得のための広告にお金を使えない
・営利団体のようなリスクは冒せない
・営利団体のように時間もない
・資金を調達する株市場もない

もし株市場を持てたとしても、あらゆる面において
非営利団体は営利に比べて不利な状況にあります。


このダブルスタンダードを疑うなら統計を見て下さい。

1970年から2009年の間に
年間約50億円の利益を出すようになった非営利団体は
144団体です。一方で、営利団体では46,136団体です。

大規模な社会問題を扱っているのに
私達の組織はコカ・コーラやバーガーキングのように拡大できません。

そう考えるのはなぜでしょう?


アメリカの奇妙な教義のほとんどがそうであるように
古い清教徒の信仰が元になっています。

清教徒は宗教のためだけでなく
金儲けをしたかったからやって来たのです。

信心深かったけれども、熱心な資本主義者だったのです。
他の入植者より過激な利益追求の傾向を避難されました。

カルヴァン主義でもあったので、己を嫌悪するよう教わります。
利己心は悪い事で、永遠の破滅への道だと教えられました。

信者には大問題でしょう?
金儲けのために来たのに、お金を稼ぐとまっすぐ地獄行きです。

では、どうしましょうか?

慈善活動がその答えです。
慈善活動は、5%の利益を追求する罪滅ぼしのための
経済的な避難場所となりました。

罪滅ぼしなら、慈善活動ではお金を稼げません。

自分の金儲けで成功するために、人助けの金銭的報酬はなくなりました。
それが「非生産的で不公平だ」という干渉は400年間全くされませんでした。


このイデオロギーは以下の危険な質問に縛られています。
「私の寄付の何%が間接費用に使われますか?」

この質問は問題だらけですが、2点に絞ります。

まず、間接費用が社会問題の解決には関係ないネガティブなものに聞こえることです。

成長のために使われるなら問題解決の目的を担っていますが、
間接費が目的にそぐわないだという考え方になります。

これが、2つ目の大きな問題を生みます。

組織は間接費なしの運営を強いられます。
しかし、間接費を低く保つには、組織が大きくなる必要があります。

資金調達を安くあげれば、目的に使える額が増えるという理屈で
慈善活動では間接費は最小に抑えるように教えられます。

寄付総額が増えない暗い世界なら、それは真実でしょう。
しかし、資金調達への投資で寄付総額を増やせる世界なら話は全く逆です。

資金調達のためにもっと多くの投資をするべきです。
資金調達は慈善目的に、使える金額を増やす可能性があるからです。


ここに例が2つあります。

AIDSライドの立ち上げに約500万円を初期投資しました。
そして、9年以内に1,982倍に増やし、
経費を除いても約108億円になりました。

乳癌の3日間のイベントでも
約3500万円を初期投資しました。
それを5年で554倍に増やし
経費を除き約194億円になりました。

乳癌研究のためです。

乳癌に興味を持つ慈善家なら、どちらが合理的ですか?

世界で最も革新的な研究者を見つけ、研究用に3500万円渡すか。
それとも、彼女の資金調達担当に3500万円渡し
研究用に194億円に増やしてもらうか。

2002年は最も成功した年でした。
その年だけで乳癌のために71億円の純利益をあげました。

そして倒産したのです。

突然、ひどい形でです。

端的にいうと、広告主が私達と手を切りたかったのです。
総収益の40%を採用活動と顧客サービス、
イベント企画に使っていた事をメディアに叩かれたからです。

成長と将来のための投資を表す会計用語がないのです。
あるのは間接費用という悪意あるレッテルだけです。

たった1日で350人のすばらしい職員たちが仕事を失いました。
関節費用と見なされたからです。

広告主は独自にイベントをやり、間接費用が増えました。
乳癌研究のための純利益が1年で84%、約60億円減少しました。

倫理的であることと、倹約を混同するとこうなります。
間接費用5%の手作りバザーは、
間接費用40%のプロより倫理的に良いと言われます。

大切な情報がかけています!

実際の総金額はどのくらいなのか、
少額なら誰も手作りバザーの関節費用は気にしません。

規模拡大の投資がないから、バザーの純利益は7100円です。
規模拡大したプロが生み出す利益が71億円だったら
飢えている人のためにはどちらがいいでしょうか?


全体としてどんな影響があるのでしょうか?

寄付はGDPの2%だと言いました。年間約30兆円です。
うちたった20%の6兆円が健康や人道支援に活用され、
残りは宗教や高等教育、病院へ向かいます。

6兆円では、これらの問題に挑むには全然足りません。
慈善活動への寄付を、成長に投資する事でGDPの2%から3%に
上げることができたら、さらに年15兆円の貢献です。

それが成長拡大を求められている健康や人道支援に使われたらどうでしょう。
そのセクターへの貢献が3倍増しになります。拡大を望めるのです。


本当の変化の可能性が出て来ます。
間接費を低く保つという士気を下げる方針に
組織の目標を下げていては変化を実現できません。

私たちの墓碑銘が「慈善活動の間接費用を節約した」なんて嫌でしょう。

世界を変えたと書いてほしい。
関節費用に対する考えを変えることで成し遂げたと。

次あなたが、慈善活動について聞いたときは
間接費の割合は聞かず、夢の壮大さを聞いて下さい。

アップルやグーグル、アマゾン級の夢です。

その夢を実現するための進捗をどう測るか、
どんな援助が必要かを聞いて下さい。

問題が解決されてるなら間接費はどうでもいい、
そんな寛大さが持てるなら
非営利セクターは変化を切に必要としている人のために
世界を変えるという大きな役割を果たせます。


それが私達の世代の不朽の遺産となるなら、
私達に引き継がれてきた考えの責任をとり、
それを再考、そして訂正し
変化を起こす事に対する人類の考え方を永遠に全員に改革したという事です。

子どもたちに まとめてもらおうと思います。
それは、本物のソーシャルイノベーションです。
ありがとうございました。

本内容は個人の見解であり、所属する企業を代表するものではありません。

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